北京で開かれていた中国・全国人民代表大会(全人代=国会)は15日、経済成長目標を年7%前後に引き下げた政府活動報告などを採択して閉幕した。閉幕後の内外記者会見で、李克強首相(59)は、今年の日中関係について、「一国の指導者は、先人の業績を継承するだけでなく、その罪による歴史の責任も負わなければならない」と述べ、戦後70年談話を準備中の安倍晋三首相(60)を牽制(けんせい)した。
会見で李氏は、当面の日中関係がなお「困難」な状況にあるとの認識を示し、その原因は日中戦争にあると指摘。「日本の指導者が歴史を直視し、中日関係の改善と発展に一貫して取り組むなら、新たなチャンスとなる」と述べた。
李氏は、「日本軍国主義」による中国の戦争被害に言及すると同時に、「日本の民衆も被害者だ」と述べた。また、日中関係の改善が、両国間の経済貿易関係を発展させる条件ともなると指摘した。
中国経済については、2015年の国内総生産(GDP)の成長率目標を7.0%前後に下げたことについて、「目標の実現は容易ではない」とした上で、必要に応じて景気刺激策を打ち出す考えを示した。また、党要人らが相次ぎ失脚している汚職摘発についても、継続を表明した。