ある窯の職人さんに訊ねてみたところ、「若い頃には外に出たい気持ちもあったけど、ここに生まれ育って伝統を見続けてきたから、これしかないと、いつの日からか思うようになった」と返ってきた。
≪使いやすく美しい 色褪せないデザイン≫
飛び鉋(かんな)の技法に挑戦させていただいた。時計のばねを利用した手づくりの鉋を握り、蹴(け)ロクロの前に座る。「とにかくやってみましょうか」とにこやかな坂本工さんを前に、僕は後ろに蹴るべきロクロを前に蹴り、左回転のロクロを右回転させてしまった。でも何だか面白い文様ができた。坂本さんは笑いながら「先入観がないほうが、面白いものができるんです」と、気負いや加飾のない言葉で語った。
小鹿田焼は、白化粧をベースに、飛び鉋、打ち刷毛目(はけめ)、打ち掛け、流し掛けなど、数々の文様の挑戦を重ねてきた。しかし技法を進化させる方向には走らなかった。なぜ、これほどまでに昔ながらの技法を大切にし、淡々とつくり続けてきたのか訊ねてみた。