関西電力美浜原発の(手前から)1号機、2号機=2013年5月、福井県三方郡美浜町(共同)【拡大】
一方で政府は、廃炉により電力会社に生じる多額の損失負担を低減する会計制度を今月13日に導入した。関電や日本原電に続き、中国電力や九州電力が18日にも2基の廃炉を決める見通しとなったのも、“硬軟両様”の政府の施策に背中を押された側面が大きい。
電力会社は今後も相次ぎ原発の選別を迫られる。国内で稼働30年超の原発は19基あり、そのうち新たに5基が5年以内に40年前後に達するからだ。
政府は原発の運転期間を原則40年としたが、一定の基準を満たせば最長20年の延長を認める例外規定を設けた。しかし、新規制基準への対応には1基当たり1000億円単位の追加工事費用がかかるとされる。関電は美浜1、2号機を廃炉とする一方、出力が82万6000キロワットと比較的大きい高浜1、2号機は、追加費用を回収できると判断。運転延長に必要な「特別点検」を昨年12月から行っている。
東京電力も17日、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働を見据え、4月1日付で社長直轄の新潟本社を設置することを決めた。これまでの新潟事務所(新潟市)を「本社」に格上げして、安全対策の地元説明を充実させる。