この「タイガ 生命の森へ」の連載も4年が過ぎ、いよいよ最終回となった。
ビキン川をたどる旅は心温まる懐かしさと先の読めない魅力に富んでいた。海を隔てた異国の森は、いつしか海でつながる隣国の森に思えてきて、北海道に戻るたびに、自然との関わりを改めて問いかけられるようだった。
今回、記憶に残るたくさんの写真から扉に選んだのは、クラスヌィ・ヤール村の船着き場の風景だ。宿泊先の村人の家から水たまりのあるデコボコ道を下ると、ビキン川がいつもたおやかに輝いていた。猟師の舟が流れを行き来し、広い空をちぎれ雲が気持ちよさそうに渡ってゆく。川辺の樹々は四季折々、力強く流れを見守っている。
ここはまさに川と森と空が出合う場所。この水辺が僕のタイガへの出発点であり終着駅だった。
頬をなでる柔らかな風の匂い。素手ですくって飲む水のおいしさ。しばらくたたずんでいると、必ず顔見知りの村人がやってくる。この何げない風景に何度背中を押され、癒やされたことだろう。
ウスリータイガはただ広く野生の宝庫であるばかりでない。そこに寄り添い、愛着を抱く村人がいることで、いっそう深みのある場所として、僕の胸に焼きついている。