サイトマップ RSS

好きなものにしがみついて何とか生きる 幅允孝 (2/5ページ)

2015.3.24 17:00

米カリフォルニア州ビバリーヒルズに昨年秋オープンしたレストラン「モード」のワインセラー。どんな人気店でも続けることには覚悟がいる=2015年3月5日(AP)

米カリフォルニア州ビバリーヒルズに昨年秋オープンしたレストラン「モード」のワインセラー。どんな人気店でも続けることには覚悟がいる=2015年3月5日(AP)【拡大】

  • 作家、井川直子さん(提供写真)
  • 「シェフを『つづける』ということ」(井川直子著/ミシマ社、1800円+税、提供写真)
  • 【本の話をしよう】ブックディレクター、幅允孝(はば・よしたか)さん(山下亮一さん撮影、提供写真)

 イタリア取材から12年

 当然のことながら、それによって起こるのは、イタリア現地における日本人の飽和状態。当時のことを井川は日本人が「うじゃうじゃいた」と語り、シェフ以外は全員が日本人という状況も珍しくなかったらしい。そんなあまたいる料理人の卵たちの中でも、自身の「核」を強く希求する若者に井川はひかれ取材を重ねた。そしてできあがったのが『イタリアに行ってコックになる』という一冊の本。上梓したのは2003年のことだった。

 それから時間が流れること12年。日本の外食事情も大きく転換してきた。そんな状況下、10年前のイタリアで夜明けを待っていた若者たちがどんな道のりを駆け抜けたのか。そんな彼らを再訪するのが本書の骨子だ。そして、その曲がりくねった彼らの料理道には、陳腐なフィクションを上回るようなドラマがあふれているのだ。当然のことながら、皆が成功してスターシェフになっているわけではない。だが、読者にとってまったく知らない料理人の歩み、彼らの挫折や苦悩やささやかな悦びが、読み手の心と胃袋に響いてくるのだからたまらない。

個々の紆余曲折に僕は想いを馳せる

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。

ページ先頭へ