自宅への家宅捜索後、記者団の質問に応じる朝鮮総連の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長=2015年3月26日午前、東京都杉並区(三尾郁恵撮影)【拡大】
輸入されたマツタケは日本国内で販売されており、捜査本部は外貨獲得が目的とみて詳しく調べている。捜査本部によると、不正輸入には朝鮮総連や別の会社が関与していた可能性があるといい、捜査本部は14年5月に関係先十数カ所を家宅捜索。証拠品を精査し、不正輸入を裏付けた。
この際、許氏の親族が役員を務めるなど、許氏一家と関わりが深い企業も捜査対象となっており、押収品の中には、許氏が北朝鮮に宛てた書類などがあった。
日本は北朝鮮の核実験に伴い、経済制裁の一環として、06年から北朝鮮からの輸入を全面禁止。輸出についても09年から全面禁止にしている。
≪粛々と捜査 拉致再調査へ圧力≫
朝鮮総連トップの許宗萬議長宅に捜査のメスが入った。本国へ送るカネ集めで地位を築き、北朝鮮の独裁体制への朝鮮総連の従属も強めさせたといわれる人物がカネに絡む事件で足下をすくわれた。日本人拉致被害者再調査の報告が滞る中、捜査機関が外交に左右されない姿勢を示すことは、結果的に報告を促す「圧力」ともなりそうだ。