別の不動産業者への転売が決まった在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部ビル(中央)=2014年11月5日、東京都千代田区(蔵賢斗撮影)【拡大】
政府は、不動産業者が競売で落札した在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部ビルが別の業者に転売され、朝鮮総連がそのまま入居し続ける見通しとなり、胸をなで下ろしている。表向きは競売・転売への関与を完全に否定し無関心を装っているが、実は拉致被害者らの救出を目指す日朝協議を通じ、北朝鮮から継続使用を強く要求されて対処に困っていたからだ。ただ継続使用は交渉カードとして使える一方、税金を投じた不良債権問題で競売が行われた本部ビルに朝鮮総連がそのまま居続けることに国民の理解は得られそうにない。このため、政府内では継続使用の是非について肯定も否定もできず複雑な思いが交錯している。
完全否定で国民批判回避
本部ビルは約22億円で高松市の不動産業「マルナカホールディングス」が落札したが、山形県の不動産会社に約44億円で転売する契約が先月末、結ばれた。今回の契約は、四国で不動産業を営み、マルナカの前社長とも親しい山内俊夫元参院議員(68)が仲介した。かつて自民党に在籍したこともある元政治家が介在したことで、政府関与の見方が浮上した。