思い出に埋め尽くされた衣類棚
確かにこのキングコングと巨大タコの暴れっぷりや、水着美女のセクシーさを目にすると、15年前のさまざまがまるで昨日のことのように瞼に浮かぶ。
けれどそんな思い出に浸ってばかりでは実際問題片付かない。そもそも劇の思い出の品と称して、数えるのもうんざりするほどにたまりにたまった公演を記念するTシャツ類も、このまま堆積し続けたら、ちょっとした地層が出来上がってしまう。もちろんこれらTシャツも作品名や公演日時、また作品を想起させるアップリケなどがプリントされていて、あんなこと、こんなことあったよね、と十分思い出に浸れる懐かしいうれしいTシャツたちなのである。だがこのままでは衣類棚のほとんどが思い出で埋め尽くされてしまう。
幸いわれわれ人間には、覚えておくという機能が備わっている。それぞれじっくり眺めて、くんくん嗅いで、はい、どうもありがとうございました、とオサラバしたところで、すっかり忘れ去ってしまうということにはならないのだ。むしろもっと高尚な、具体的なモノに頼らず、この身一つで思い出を引き出せる高みに達するのだ、と自らに言い聞かせ、廃棄せねばなるまい。