それにしても、あまりにも稀有だった。あまりにも美しく、あまりにも絶唱めいていて、あまりにも天上的だった。そういう小夜子がもういないとは思いたくなかったのだが、最近は「小夜子のいない日本」なんて、なんとかなるのだろうかと、そちらのことが気になっている。
【KEY BOOK】「小夜子の魅力学」(山口小夜子チョ/文化出版局、1296円、在庫なし)
この本は何度か読むにつれ、サイコーの美意識をめぐる哲学書だと思うようになった。横浜での生い立ち、お母さんが作った服のこと、水のこと、指のこと、朝ごはんや化粧のこと、東洋人であること、「間」のこと、みんな書いてある。1やまもと寛斎とザンドラ・ローズ、『上海エクスプレス』のアンナ・メイ・ウォン、おしゃれの本質、いずれもとうてい読みとばせない。