【BOOKWARE】
マライア・キャリーの2008年のアルバムに「E=mc2」がある。「イー・イコールズ・エムシー・スクウェアード」と読む。全米ナンバーワンのヒットになった。むろん世界で最も有名で、かつ最も恐ろしいアインシュタインの方程式をタイトルにしたものだが、実は彼女のイニシャルをもじってもいた。
19世紀末、物理学者たちは大きな謎に直面していた。物質と光の関係はどうなっているのかという問題だ。二つの力学が重ならないのだ。ニュートンは物質が運動するとどうなるかを解いた。マックスウェルは光(電磁波)がどんな力をもつのかを解いた。けれども光が地球に対してどんな運動をしているのかを説明しようとすると、この二つはうまく重なってはくれない。
そこで、地球のまわりには「エーテルの風」というものが吹いていて、光や電気はその媒質の影響を受けてニュートンの力学を満足させていると考えてみた。ところがマイケルソンとモーリーという二人の科学者が特別な装置を考案して計測してみたところ、「エーテルの風」など吹いていなかったのである。