【KEY BOOK】「なぜE=mc2なのか?』(柴田裕之訳/紀伊国屋書店、2376円)
E=mc2を基本において、相対性理論の成り立ちやその周辺の仮説や理論を理解するのには、最も適確なアプローチをしている本だ。理屈っぽくはない。充分に「読ませどころ」も散りばめてある。特殊相対性理論は時間と空間を相対的に見る必要があるということ、物質の運動の観測には二つ以上の座標系がともなうこと、このことがわかる必要がある。この本はそこを氷を溶かすようにラクにしてくれる。
【KEY BOOK】「世界でもっとも美しい10の物理方程式」(ロバート・P・クリース著、吉田三知世訳/日経BP社、2808円)
E=mc2がどうのこうのという前に、数式とか方程式がどういうものかが分からないと、どうも気持ちが悪いという諸君には、この本を奨める。ピタゴラスの定理、ニュートンの運動式、万有引力の法則、マックスウェルの電磁場方程式などをへて、ばっちりE=mc2に導いてくれる。さらにオイラーの等式、熱力学第2法則、重力場方程式、波動方程式などをちゃんと案内しているのが、筋のいいところだ。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)