環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉をめぐる日米閣僚協議の結果を記者団に説明する甘利明(あまり・あきら)TPP担当相=2015年4月21日、内閣府(三尾郁恵撮影)【拡大】
背景には、北米自由貿易協定(NAFTA)など過去の自由貿易協定が製造業の海外流出を招いたとの主張がある。米議会では労組を支持基盤とする与党・民主党でTPA法案への反対が強く、野党・共和党にもTPA法案でオバマ大統領に通商交渉の権限を委ねることには抵抗感が根強い。
試される外交力
日米協議が決着し、TPA法案が成立しても、知的財産など難航分野で日米と対立する新興国が歩み寄る保証はない。12カ国は23日から、米ワシントン近郊で首席交渉官会合を開くが、鶴岡公二首席交渉官は21日、今回の会合で課題が「すべて解決することは想定されない」と述べた。
日本政府内では「遅くとも6月までに全体合意できなければ、交渉は中断を余儀なくされる」(交渉筋)と危ぶむ声も多い。「時間切れ」が迫る中、どう全体交渉を終結に持ち込むか。交渉を主導する日米の外交力が試される。(本田誠、ワシントン 小雲規生/SANKEI EXPRESS)