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空間満たす「彼女」の存在感 「山口小夜子展」 椹木野衣 (4/5ページ)

2015.4.27 10:20

「資生堂_舞」のポスター(撮影:横須賀功光、AD:中村誠、1978年、提供写真)

「資生堂_舞」のポスター(撮影:横須賀功光、AD:中村誠、1978年、提供写真)【拡大】

  • 松蔭浩之「山口さよこ_#1」(2005年、ディレクション/コスチュームデザイン:津村耕佑、提供写真)
  • 山口小夜子×生西康典×掛川康典「夢よりも少し長い闇」(2015年、提供写真)
  • 山川冬樹「その人が見た未来は僕らの現在」(2015年、提供写真)
  • 山口小夜子(撮影:下村一喜、2005年、提供写真)

 いわば「降霊術」

 この展覧会は、だから、たんに偉大なモデルを広く回顧した展覧会には留まらない。率直な印象としては、とてつもなく広い場所を借りた、「降霊術」を思わせる。現世とあの世との境界を超え、無限の連鎖と増殖さえ感じさせるその存在は、のちの『リング』における呪縛霊「貞子」や、『新世紀エヴァンゲリオン』における人造生命「綾波レイ」といったキャラクターが持つ、怖さと美しささえ先取りしている。

 展覧会の終盤で、山口小夜子というスタイルを借りて、世代を超え、たくさんのクリエイターたちが彼女と共演し、新作を披露しているのも、注目に値する。

 なかでも、東京都現代美術館で最大の展示空間でありながら、あまりにも素っ気ないため、これまで、ほとんど中身の詰まった展示に成功してこなかった巨大な吹き抜け=アトリウムでの展示が、今回ばかりはすごい。そこでは、ありとあらゆる山口小夜子が同時に共演し、混じり合い、声となり影となり言葉となって、空間を駆け巡る。しかし、そんなことが可能になったのも、彼女自身が、どんな場にでも盛りつけられることができる、巨大な「器」そのものであったからなのかもしれない。(SANKEI EXPRESS

ガイド:「山口小夜子 未来を着る人」

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