【囲碁十段戦五番勝負第5局】高尾紳路(しんじ)十段(左)との対局を振り返る伊田篤史八段(右)=2015年4月22日午後、東京都千代田区の日本棋院(蔵賢斗撮影)【拡大】
産経新聞が主催する囲碁の十段戦で今月、「新十段」が誕生した。21歳になったばかりの伊田篤史さんである。
産経新聞文化部に来て、最も新鮮かつ畏敬の念を抱いたのが、十段戦と同じく主催する将棋の棋聖戦だった。
主催社の特権で対局の開始に立ち会うことができる。今度の十段戦五番勝負の最終局は、東京・市ケ谷の日本棋院にあり数々の名勝負が繰り広げられた「幽玄の間」で立ち会った。
物音ひとつしない部屋で対局の開始を待つ。定刻までの静寂、しわぶきひとつできない緊張感。退室するまでの十数分、息を詰めていたのか、部屋を出た途端、大きく息をついた。
囲碁将棋に立ち会う機会を得て、このような極限まで張り詰めた空間が現代に生きていることに驚いた。もうひとつ驚いたのは「感想戦」だった。
将棋や囲碁は勝負が決まった後、対局者同士、立会人なども加わって、勝負を振り返る。「こっちだったらどうかな」「こういくから…やっぱりだめか」。自分がどうして負けたのか、どこが勝負の分かれ目だったのか、勝者と敗者が一緒になってやり合う。最初に見たときは正直、「勝負がついてから言っても仕方ない。負けた方は早く帰りたいだろうに」と首をひねった。