今回は石垣島の海を紹介する。「世界一、美しい海」と海外のダイバーが絶賛していることは意外に知られていない。何年か前、海外にスキューバダイビングに行ったとき、「なぜ日本人は石垣島の海があるのに、わざわざ外国の海で潜るんだ?」と言われて恥ずかしい思いをした。
僕が石垣島へ移住したのは、スキューバダイビングをして、水中で写真撮影をしたかったからだ。水中撮影では、さまざまな制約にぶつかる。でも陸上では撮れないアングルから撮れる面白さがある。
水中は宇宙でいう無重力状態のようなもので、全方位360度、自由自在に動ける解放感がある。陸上で例えて言うと、ビルの3階の部屋を宙に浮いた状態で外から撮影できるような感じだろうか。地球の重力から放たれて自由に動き、さまざまな角度から被写体を撮影できる素晴らしさは、体験してみないと分からない。身近な海に身を委ね、宇宙に行かなくても無重力状態を体験できる、というわけだ。
水族館へ行けば海中を体験したかのような気分になるが、人工的に管理され、本当の自然界では有り得ない、妙な生態系の世界にごまかされてしまう。
実際の海は地球上の表面積の7割を占め、魚や貝、サンゴやプランクトン、微生物まで1000万種以上の生物が生息するといわれている。海では、陸上だったら動物園にしかいないような生き物を、野生の状態で見られる。わずか1メートル潜るだけでも無数の生物に出合えるのも魅力の一つだ。