病院にも行けない
首都カトマンズから約100キロ離れ、険しい山に囲まれた同地区バラビセ。中国との国境に近く、道路沿いに宿や食堂、両替屋が並ぶにぎやかな町だったが、れんが造りの家屋の多くが崩壊。電柱は傾き、電線が垂れ下がっている。土煙が舞いマスクなしでは歩けない。
半壊した私立病院裏の空き地に、テントと簡易ベッドだけの臨時の病院。後頭部を負傷した7人きょうだいの末っ子、ダヌ・バハドゥル君(11)が、ぐったりしながら地面で横になっていた。包帯には血がにじみ、紫色に腫れた顔の傷にはハエがたかっている。
倒れた家の下敷きになった。父と母に抱えられながら山を越え、翌日バラビセにたどり着いた。しかし、応急処置を受けただけ。父のディルさん(56)は「大きな病院に連れて行きたいけど、交通費がない。食べ物や水も買ってあげられない」とうなだれた。