ボルティモアは米首都ワシントンから北東にわずか約60キロ。人口の6割以上を黒人が占めるが、この日のデモ行進はむしろ白人の方が多かった。「人種を超えてみんな怒っている。素晴らしい光景だわ」。沿道にいた黒人女性が声援を送った。
しかし、住民は警察に強烈な不信の念を抱いている。配送業の黒人男性(22)は「訴追を決めたのは検察で、警察じゃない。信頼できるわけがない」とまくしたてた。
2代前の市長で次期大統領選候補にも名前の挙がるオマリー前州知事は犯罪抑止のため徹底的に取り締まりを進めたが、その代償は大きかった。
「以前に比べて治安は改善した。でも、いまやこの町は警察が支配している。やりたい放題だ」と、タクシー運転手の黒人男性(48)。失業中、取るに足りないことで逮捕され、その記録のためにさらに就職しにくくなり、また犯罪に走る-。黒人の若者らが陥る悪循環を指摘した。(共同/SANKEI EXPRESS)