その後、東大は昨年12月に方針を転換。大学院の情報理工学系研究科のガイドラインを改訂し「軍事・平和利用の両義性を深く意識し、研究を進める」と明記し、軍民両用(デュアル・ユース)の技術研究を容認した。以前は「一切の例外なく軍事研究を禁止する」としていた。
ところが、当時総長だった浜田氏(65)は今年1月16日になるとホームページ(HP)上で「軍事研究禁止は(中略)、重要な基本原則の一つ」としつつも、「個々の場面での適切なデュアル・ユースのあり方を丁寧に議論し対応していくことが必要」と説明。禁止を掲げながら軍事研究を内包したデュアル・ユースを肯定するという整合性のないコメントを発表した。
こうした浜田氏の声明について、東大東洋文化研究所の安冨歩教授は「軍事研究否定のポーズを示しつつ、実際は研究を可能にする矛盾した文章だ。原則を骨抜きにしてしまう。このような欺瞞(ぎまん)言語を使うと悪影響が大きい」と指摘。学内での動揺が広がっているのが実情だ。
一方で、東大は3月、北京大(中国)、ケンブリッジ大(英国)、オーストラリア国立大の3校と全学規模で交流を深める「戦略的パートナーシップ」協定を相次いで締結。東大はこれまで、プリンストン大(米国)とのみ同様の協定を結んでいた。東大の軍事研究解禁に伴い、中国がデュアル・ユースの最先端技術を自国の軍事技術に利用する可能性もあるわけだ。