外為法違反容疑で逮捕され自宅を出る朝鮮総連の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長の次男、許政道(ジョンド)容疑者(右から2人目)=2015年5月12日午前、東京都足立区(宮川浩和撮影)【拡大】
捜査本部は今年3月26日に、貿易会社「東方」社長(61)と東方社員(42)=いずれも外為法違反罪で起訴=を逮捕。朝鮮総連側は「東方とは何の関係もない」と主張してきた。だが、2人は朝鮮特産物販売に勤務経験があり、不正輸出をめぐる本国とのやり取りは、東方を拠点に政道、勇祚両容疑者が取り仕切っていたとみて裏付けを進めてきた。
捜査本部は、朝鮮総連の組織的関与についても調べる。政道容疑者は、北朝鮮への投資や送金のほか、朝鮮総連の秘密資金の管理に携わってきたとされ、今回の捜査が、北朝鮮と朝鮮総連間の裏の資金ルートに影響する可能性がある。
≪厳粛な法執行 拉致問題進展へ圧力≫
拉致被害者らの安否について北朝鮮が再調査することが決まった「ストックホルム合意」から間もなく1年。その結果がいまだに寄せられない中、警察当局は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬議長の次男らの逮捕に踏み切った。法と証拠に基づく捜査の結果だが、北朝鮮や朝鮮総連が今後反発を強めることは必至で、両者への一つの“圧力”となったことは間違いない。