ウクライナ東部ドネツク州のマレーシア機墜落現場で残骸などを調べる調査官。手前には「立ち入り禁止」の看板が立つ。今秋の最終報告書発表を前に真相をめぐる議論が活発化している=2015年4月16日(ロイター)【拡大】
【国際情勢分析】
昨年7月にウクライナ東部で起きたマレーシア機撃墜事件の原因究明作業が佳境を迎えている。航空史上に残る大惨事は、欧州、アジア、オセアニアの10カ国298人の乗員乗客全てが死亡し、欧米が対ロシア制裁の強化に踏み切る契機となった。調査は犠牲者の3分の2を占めたオランダを中心とした国際チームが進めている。
「自国製ミサイル説」詳報
事件発生から間もなく1年となる中、ロシアの独立系新聞ノーバヤ・ガゼータが5月初旬、ロシアの軍事専門家が作成した報告書を報道した。8ページにわたって大々的に特集が組まれ、マレーシア機は、露製地対空ミサイルシステム「ブク」により撃墜されたと結論づけている。
ブクは標的の近くで爆発し、散弾銃のように小さな「弾丸」を周囲に飛び散らせて、機体にたくさんの小さな穴を開ける。そうして標的を飛行不能に陥らせて、撃ち落すのだ。