3月25日、イーゴリ・コロモイスキー氏(右)と膝詰め談判をするウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領。この後、大統領はコロモイスキー氏の知事職を解いた=2015年、ウクライナ・首都キエフ(ロイター)【拡大】
【国際情勢分析】
ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領(49)は3月下旬、東部の親ロシア派武装勢力との戦闘拡大に防波堤の役割を果たした功労者に対し、大統領権限を行使した。
石油ガス、銀行、航空、メディア分野の企業を営み、総資産ウクライナ3位の15億ドル(約1800億円)を保有するイーゴリ・コロモイスキー氏(52)。このユダヤ系のオリガルヒ(新興寡占資本家)は、親露派勢力が域内に「人民共和国」を創設したドネツク州と境界線を有するドニプロペトロフスク州で、昨年3月から知事を務めていた。
ポロシェンコ氏は2013年秋に首都で始まった反ロシア運動の「キエフの忠実な支援者」の知事職を解いたのである。英誌エコノミストが「新たな争いが幕を開けた。政権はこれまで統治を頼ってきたオリガルヒに戦いを仕掛けたのだ」と報じる。混迷極めるウクライナで一体何があったのか?