≪江戸時代 深く愛されたツツジ≫
ツツジの仲間はアジアに広く分布しており、日本の里山にも自生しているので、日本人は古代から親しんできた。8世紀の奈良時代に編纂(へんさん)された万葉集にもツツジを読んだ歌が10首でてくるという。
日本独自の園芸文化が盛んになった江戸時代中期にはさまざまな品種改良が行われ、1692(元禄5)年には世界初とされるツツジ専門の解説書「錦繍枕」も出版されている。原本は国立国会図書館のデジタルコレクションとしてインターネット上に公開されているので、パソコンを使って閲覧してみた。
旧暦4月までに開花するものを「ツツジ」、旧暦5月以降に開花するものを「サツキ」と分け、ツツジ173種とサツキ163種について、花弁や葉などをイラストで図示しながら、それぞれの特徴を説明している。著者の伊藤伊兵衛はサクラのソメイヨシノで知られる江戸・染井村(現在の東京都豊島区)を拠点とした植木商の三代目だったそうで、江戸時代の日本人が抱いていたツツジへの愛着の深さが伝わってくる書物だ。