弱さに対する礼賛
作中、サンドラの訪問を受けた同僚たちが「他の人はどんな意見なのか?」と尋ねるシーンが目立つ。「仮にサンドラが週明けの月曜日に同僚全員の前で自分の雇用継続を訴えたとしても、何も効果は得られないでしょう。人間というものは、集団という状況下に置かれると、他人が下した意思決定にいとも簡単に同調してしまいがちです。『他の人がノーと言っているのだから、自分たちもノーと言っていいんだ』と、うまく責任逃れができるからです」。リュック監督は集団の意見を切り崩すうえでの心得を重ねて説いた。
抗不安薬を飲みながら降ってわいた難題に対処するサンドラの姿が痛々しい。ジャン=ピエール監督の意図はこうだ。「周囲は病み上がりのサンドラを弱くて鈍い存在と考えるでしょう。でもそんなサンドラが、周囲の考えを変えてしまうばかりか、自分に存在価値を見いだせないサンドラ自身をも変える力を持っていたのです。『サンドラの週末』が描きたかったのはその部分であり、弱さに対する礼賛なのです」。5月23日、全国で順次公開。(文:高橋天地(たかくに)/撮影:宮崎真澄/SANKEI EXPRESS)