原田知世がカバーアルバム『恋愛小説』を発表した。ブラジル音楽を専門とする伊藤ゴローのプロデュース。真っ向から歌に向き合う姿が印象的な背景には何があるのだろう?
「伊藤ゴローさんには2007年のデビュー25周年記念アルバム『music & me』以来、3枚をプロデュースしていただいているのですが、それらはポップス寄りだったんです。今回は初めて伊藤さんに本領を発揮していただき、ボサノバ調の編曲が多い内容になりました」
――伊藤さんは、坂本龍一さんのレーベルからアルバムを出し、細野晴臣さんとも共演なさっている多彩な方です。今回は彼の得意なブラジル寄りになったわけですね。どうやって選曲されたんですか?
「ラブストーリーに関する曲を、洋楽、邦楽問わずたくさんの候補から選び出して、その中から10曲選びました。私は特に『ブルー・ムーン』『フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン』の2曲が歌いたかったのです」
――そうしたスタンダードを歌われるのはハードルが高くありませんか?
「スタンダード曲は、今や動画サイトで、たくさんの人が歌っているバージョンを聴くことができます。それらを聴いてみて『ああ、こんなに自由に表現できるものなのか?』と気づかされました」