ちょうど、ハイアットホテルズと外資系ラグジュアリーホテルチェーンで日本人女性として初の総支配人をつとめる野口弘子さんも「もう一歩進んだ食の楽しみを提供したい」との構想を抱いていた。2人はディスカッションを繰り返し、「限られたお客さまに最高の料理を」とのコンセプトにたどりつく。もともとバーだったスペースを改装し、今年2月に「シェフズ ターブル」をオープンした。
瞬間的な香りも
ディナーコースは12品前後の構成で、「その日ベストの食材を」との思いからメニューは完全に日替わりだ。金山さんが最も大事にしていることは「ニュアンス」。たとえば「北海道産イカのポワレ、ヒヨコ豆のピュレ、トマト水、ミントオイル」は素朴で自然な盛りつけながら、口に含むとイカの香ばしさやトマトのうまみ、ミントの涼やかな香りが幾重にも重なりあい、奥行きと余韻をもたらす。「大規模なレストランでは、サーブまでの間に時間がかかったりして、こういった繊細なニュアンスを感じてもらいにくい部分がある。香りは瞬間的なものですから、お客さまとの距離が近いこの規模ならではの料理だと思います」。