子供の頃に恐ろしかった映画も、大抵大人になると克服できるものなのだが、『ポルターガイスト』に限ってはどうも見直すことができずにいる。顔が剥がれてしまうような非現実的なシーンは、結局のところは特殊メークで作られているものなのだし、メーキャップ技術もまだまだ途上にあって、そもそもCGなんてものも発達してなかったのだから、冷静に見直せばなんてことはないのだろうと頭ではわかっているものの、わざわざそうした恐怖と再会する必要があるのだろうかという疑念から遠ざけたままである。
鏡への恐怖は少年から青年、おじさんへと育っていく中でも、うっすらとつきまとい、もともと苦手なホラー映画をそれなりに楽しめるようになった現在も、映画の予告編やテレビ番組などで、鏡を使った怖いシーンが流れるととっさに目を瞑るないしはチャンネルを素早く変える始末である。