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鏡の向こうの異界とは 長塚圭史 (3/5ページ)

2015.6.16 16:00

光線をゆがめるガラスもまた神秘を孕むのかどうか。記憶はゆがめられるような気がするのはなぜでしょう(長塚圭史さん撮影)

光線をゆがめるガラスもまた神秘を孕むのかどうか。記憶はゆがめられるような気がするのはなぜでしょう(長塚圭史さん撮影)【拡大】

  • 【続・灰色の記憶覚書(メモ)】演出家の長塚圭史さん(提供写真)

 永遠なのか無なのか

 けれど恐怖を感じているからこそ、私の想像は膨らんで、ここでおしまいというところがない。鏡の向こうに世界があるとしたら、果たしてこちら側から向こうへ入り込むことができるのか。鏡の世界の人々にとっては、われわれもまた同様に異界の住人と映るのか。そもそもあいつは同一人物なのか。かつて死者の世界は時の流れから何からすべてがこの世と逆さまであるというような迷信があったが、鏡の世界のあべこべは死の世界の糸口なのであろうか。するとドラキュラ伯爵が鏡に姿が映らぬ理由は、「死」の確約を失い、現世をさまよう肉体であるからか。つまり死するものたちのみが鏡の投影を許される。そうした鏡の世界の中にある鏡は、果たして何を映すのか、また合わせ鏡のかなたはどこにあるのか。いやいやまったくどうにも果てがない。

 合わせ鏡の間に入った私は、ミクロのかなたまで永遠に続いているのかもしれない。あるいは在る地点で途切れ、そこからは無なのかもわからない。ということは、合わせ鏡は合わせたその時すでに、連続の終わり、真っ白なのか真っ黒なのかもわからないが、無が映りこんでいるということなのか。そう。永遠も無もわからないから恐ろしい。

鏡の孕む非日常性は神秘といえる

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