国家の記憶を描いたカズオ・イシグロさん。「忘れた方がいいのか、それとも…。一概には言えないが、ときには忘却が社会の崩壊を防ぐ手立てとなることもある」と考察する=2015年6月8日、東京都千代田区(長尾みなみ撮影)【拡大】
世界的作家の“これから”は。「記憶というテーマは続くでしょう。個人的なレベルの記憶と、社会的なレベルの記憶を比較するのは、とても面白い。でも、最終的なことをいえば、世界を見るレンズそのものに興味があるのだと思います」。変幻自在のレンズを携えて。記憶をめぐる旅路はつづく。(文:塩塚夢/撮影:長尾みなみ/SANKEI EXPRESS)
■Kazuo Ishiguro 1954年、長崎県生まれ。5歳でイギリスに移住、その後、英国籍を取得。82年の長篇デビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞、86年発表の『浮世の画家』でウィットブレッド賞、89年には『日の名残り』でイギリス最高の文学賞ブッカー賞を受賞した。2005年発表の『わたしを離さないで』は映画化された。
「忘れられた巨人」(カズオ・イシグロ著/早川書房、2052円)