自身の属性も「裏」という。「コソコソ日陰の道を歩いてきました…。ときには華やかな部分も見たりしつつ。どっちも見たいというスケベ心ですかね」と自己分析する=2015年2月13日、東京都千代田区(野村成次撮影)【拡大】
【本の話をしよう】
14日に北陸新幹線が開業し、注目を集めている北陸・山陰地方。これまでどちらかというと控えめな印象の日本海側地方だが、人気エッセイストの酒井順子さん(48)は「大切なものがひっそりと隠されている地」と説く。最新刊『裏が、幸せ。』では、文学、歴史、伝統芸能から政治家、果ては美人論まで、縦横無尽な切り口で「裏」への愛をたっぷりつづっている。
現在では差別用語とされているが、本書では、愛情と敬意を込めてあえて日本海側を「裏日本」と呼んでいる。「裏日本という言葉ができたのは明治20年代。最初は自然地理的な用語でしたが、30年代ごろから次第に経済的な格差が存在するという意味で使われるようになってきました。逆に言えば、太平洋側が汚れ役を担ってきたのに対し、日本海側には開発から守られてきた豊かな、清いものがたくさん残っている。『内裏』という言葉にも象徴されるように、大切なもの、高貴なものは『裏』に隠されているのではないでしょうか」