【本の話をしよう】
最近、「クールジャパン」という言葉に象徴されるように、日本の独自の文化が海外で高く評価されつつある。クールジャパン関連の投資を担う官民ファンド「海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)」代表取締役社長の太田伸之さん(61)が新書『クールジャパンとは何か?』を刊行し、世界で稼げる日本になるためのヒントを示した。
安売りするな
クールジャパン機構とは、日本の魅力ある商品・サービスの海外需要開拓に関連する支援・促進を目指し、中長期的な視野で投資を行っていく機関で、2013年に発足。太田さんは百貨店「松屋」の執行役員や日本を代表するファッションブランド「イッセイミヤケ」の社長などを経て現職に就任した。
著書では、アメリカでのジャーナリスト経験も持ち、長年国内外のファッション業界で活躍してきた太田さんならではの視野で、「クールとは何か」から、「なぜ日本の海外戦略は失敗してきたのか」、さらに「世界で稼げる強い日本」となるための提言までを、小気味よいトーンで論じている。
「バブルがはじけて20年。効率を追求し、低価格志向を強めていく中、本来の日本のよさが失われてしまった。もはや『安くて』『壊れにくい』だけでは海外ではモノは売れない。われわれが売っていくべきものは『日本の技』『日本のカッコいい』だと思っています」