日本語詞で歌われていることもあって親しみやすい一方で、妥協のない小松の演奏が絡み合い、けっして雰囲気に流されるようなタンゴ作品にはなっていない。オールドスタイルにこだわったアレンジや、透明感のある歌声との調和はあくまでも彼ら流のオリジナル。本場のタンゴ以上に、メランコリックな気持ちにさせられる傑作だ。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)
■Vinicius Cantuaria 1951年生まれ、ブラジル出身のシンガー・ソングライター。ボサノバやサンバをベースに独自の美学でブラジル音楽を追求。90年代半ばからはニューヨークに拠点を移し、アート・リンゼイや坂本龍一などジャンルを超えた共演を行っている。
■おおぬき・たえこ&こまつ・りょうた 1975年にシュガー・ベイブでデビューして以来、常に音楽シーンの最前線で活躍してきたシンガー・ソングライターと、日本を代表するだけでなくタンゴの本場アルゼンチンでも高い評価を得るバンドネオン奏者による新鮮な組み合わせ。
■くりもと・ひとし 音楽&旅ライター、選曲家、ビルボードライブ企画プランナー。2年間の中南米放浪の経験を生かし、多彩なジャンルで活動中。情報サイト、All Aboutでアルゼンチンのガイドを担当。最新著書は「アルゼンチン音楽手帖」。