6月28日、現金自動預払機(ATM)に紙幣を補充するため、首都アテネの銀行前でダッシュする警備員。デフォルトの可能性が高まったギリシャではこの日、多くの預金者たちが口座の凍結を懸念してATMで現金を引き出し、各地のATMで紙幣が不足する事態となった=2015年(ロイター)【拡大】
ただ、少なくとも一時的せよ、影響がでることは避けられない。ギリシャがデフォルトに陥る可能性が高まったことで、週明けの金融市場は波乱含みの展開が予想される。ユーロが大きく売られ円が買われやすくなり、東京株式市場では短期的に日経平均株価(225種)が2万円を割り込む局面もありそうだ。
接近図る中露
また、ギリシャがユーロ圏から離脱する事態になれば、経済よりもむしろ国際政治への影響が懸念されている。危機を横目に中国とロシアが経済的に窮したギリシャへの接近を図っているためだ。
ロシアはすでに、ギリシャがユーロ圏のみならずEUをも離脱すれば、ギリシャからの食糧輸入禁止を解除することを示唆している。さらに中国も、国営海運会社コスコがアテネ首都圏の外港都市ピレウスのコンテナ港運権益を35年契約、約34億ユーロで取得するなど、ギリシャの空港や港の権益を買い進めている。欧州の入り口に当たるギリシャは地政学的に戦略上の要衝でもあるだけに不気味な動きといえる。
ギリシャ問題は果たして「アリの一穴」となるのか、目が離せない情勢だ。(SANKEI EXPRESS)