又吉直樹さん(以下又吉) 僕はもともと自由律俳句をやっていて、定型句にも興味がありました。そのイベントで堀本さんの「詩へ螺旋階段のぼりつつ夜寒」という句に出合って、衝撃を受けた。風景も思い浮かぶし、言葉もかっこいいし…。『うわあ、すっごいなあ。ほんまに俳人っておるんや』って思いました。むき出しの俳人というか…。
堀本 初めて聞きました、「むき出しの俳人」って言葉。「俳人」って書いたTシャツ着たくなる(笑)。
又吉 僕、「真剣な人」って好きなんです。サッカーに例えると、オーバーヘッドとかを多用したろ、って思ってない。インサイドキックだけでもこんだけバリエーションあるんですよ、みたいな。小説の現代作家でも、近代文学とつながってる感じのする人が好きなんですね。その中で、新しいこともやろうとしている。堀本さんからも、そういう「ぶれなさ」を感じる。
鑑賞力も必要
――又吉さんは、もともと「俳句」への恐怖感があったのでは
又吉 なんでしょうね、ルールあるものが怖いんでしょうね。ノリではなんともならない。知っているはずの日本語なのに、こうも分からないのかと。俳句って、センスを超越した人だけができるもんやと思っていた。