今回のフォトブックは、撮影スポットこそ決まっていたものの、表情やポーズなどの決め事は一切なく、その場の雰囲気で作っていった。つまり、公演より一足早く、佐々木は一人芝居の舞台にほうり込まれたようなものだ。
失敗の許されない一人芝居の重責に押し潰されそうになりながら撮影に臨んだこともあってか、本書では明るい表情は少ない。だが、それが王殺しという大罪を犯して自らが王となったマクベスが抱える不安や恐怖といった心情とも重なっていく。
作り笑顔などまったく収められていないという意味では、一般的な写真集とは一線を画した、一種のドキュメンタリー的な色彩が強い本に仕上がっている。
そんな中、佐々木が唯一リラックスした表情を見せたのは、ウイスキー蒸留所を訪れたとき。
「蒸留所の中は、やっぱり実家の造りと似ていて親近感を感じましたね。気候や水、原材料に対する考えも日本酒造りと共通しているところも多くて、楽しい時間を過ごせました。『将来はウイスキーを造りたい』というオーナーの4歳の息子さんとも出会いましたが、『僕もそうだったけど、なぜか俳優になっちゃったよ』と言わずにはいられなかったですけど(笑)」