2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の建設計画に関し、デザイン採用を決めた審査委員会で委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏(73)が16日、東京都内で記者会見し、「審査委員会の実質的な関わりはコンペの最優秀賞を選んだところまで」などと主張。総工費が2520億円に膨らんだ現状には「もっと下がらないのか」と削減を求める一方、政府内で建設計画の縮小案が浮上していることには「(デザイン案は)国際公約だから外せない」と牽制(けんせい)した。
総工費が問題化して以降、安藤氏が公の場で説明するのは初めて。
審査委員会が2012年11月に選んだイラク出身の女性建築家、ザハ・ハディド氏(64)のデザインは2本の巨大なアーチが特徴で、費用が高騰した要因と指摘されてきた。安藤氏は選考の経緯について「実際にはアイデアのコンペだ。徹底的なコストの議論にはなっていないと思う」と説明。デザイン選定後にコストが増大した過程では事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)から一切説明がなかったと主張し「選んだ責任はあるが、頼まれたのは選出まで」と、コスト増の責任は認めなかった。