英フィナンシャル・タイムズグループの買収発表会見に臨む日本経済新聞社の岡田直敏社長(左)と喜多恒雄会長=2015年7月24日、東京都内のホテル(共同)【拡大】
ワシントンの米政権は、プラザ合意後、対日金融緩和圧力を激しく加え、通商摩擦では戦時の対日制裁条項まで持ち出した。中央情報局(CIA)を動員して日本製半導体のダンピングの証拠を収集。戦勝国対敗戦国の構図さながらである。
ナショナリズムの情念に流されることはないとしても、日本人記者であれば、米国の傲慢ぶりを記事の行間に漂わせようと考える。
欧米メディアは日本の記者クラブ制度が閉鎖的だと非難するが、ワシントンでは英語メディアだけを対象とした非公式会見はしばしば開かれ、米国の一方的な見解が流される。筆者はそれに潜り込もうとして、締め出されたこともある。
香港返還時に、英メディアは香港が恥ずべきアヘン戦争勝利のたまものであることをいっさい無視するかと思えば、中国共産党体制に好意的でもあった。日本人である筆者の関心はといえば、大英帝国の狡猾(こうかつ)さと北京に監視される香港市民の受難だった。