米首都ワシントンのアメリカン大学でイラン核合意に関する演説を行うバラク・オバマ大統領。強い語気で野党・共和党側に合意の承認を迫った=2015年8月5日(ロイター)【拡大】
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イラン核合意が米議会で承認されるかはバラク・オバマ米大統領(54)だけでなく、国際社会における米国の威信にとっての分水嶺(れい)となる。「核なき世界」への礎石としたいオバマ政権側と上下両院で多数を占める野党・共和党の駆け引きは、中東でイランと敵対するイスラエルを巻き込んで激化している。9月17日までの審査期間でオバマ氏が議会を説得できるかが鍵を握ることになる。
けんか腰で承認迫る
頭を下げてでも頼まなければいけない立場にあるのに、なぜかけんか腰になってしまうのはオバマ氏の性格なのかもしれない。5日、ワシントンのアメリカン大学で行った核合意に関する演説でもそうだった。
「現状に満足しているイランの強硬派たちは『アメリカに死を』と唱えて、合意に最も反対している。彼らは共和党と共同戦線を張っている」
わざわざホワイトハウスからそれほど離れていないアメリカン大学を演説会場に選んだのは、そこがキューバ危機後の1963年、ジョン・F・ケネディ大統領(1917~63年)がソ連と核実験禁止条約の締結を協議することを宣言したのと同じ場所だからだ。