欧米など6カ国とイランの核協議が14日、最終合意に達したことで、多くの関係国は歓迎の意を示した。当事者のイランは、最終合意により、国際的な孤立から脱する足がかりを得て、米国との関係緊密化が進む見方も。一方、安全保障上の観点からイランを強く警戒しているイスラエルは「歴史的な誤りだ」と強く反発。イラン核問題は、一筋縄では行かず、なお混迷が続きそうだ。
今回の核合意は、イランのロウハニ政権が、国際的な孤立と経済的な苦境から脱するチャンスとなる可能性が高い。イランと米国は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」対策で共闘関係を結んでおり、実質的な関係緊密化が進むとみられている。
ロウハニ大統領は、2013年夏の大統領選で「経済制裁の解除」と「国際社会との融和」を前面に掲げて当選した。最大の課題となるのは、1979年のイラン革命後に断交した米国との関係改善だ。
一連の核協議では、米国を「悪魔」と呼ぶ国内の強硬保守派への配慮を強いられつつも、対米強硬派のアフマディネジャド前政権時代に科された国連安全保障理事会決議による制裁や、欧米各国の独自制裁で疲弊していた国内世論から高い支持を獲得。こうした世論の動向をみながら、最高指導者ハメネイ師もロウハニ政権にお墨付きを与えてきた。