ベトナムの南の玄関口であるタンソンニャット空港(ホーチミン)から空路で約1時間。肌にまとわり付くようなホーチミンの不快指数が嘘のようだ。心地よい海風が肌をなでる。ベトナム最南端のフーコック島は、タイ湾に浮かぶベトナム最大の離島。最大といっても淡路島ほどの小さい島で、ベトナム料理に欠かせないヌックマム(魚醤(ぎょしょう))の一大生産地として、国内では昔から知られている。
町へ出た。10年ほど前に訪れたときとは、島の様子がずいぶん変わっている。赤土だった島の幹線道路はきれいに舗装され、降り立った空港に至っては島の南側に新設された新国際空港となっていた。この数年で開発の波が押し寄せているようだ。
島内面積の7割が国立公園に指定されるほど手付かずの自然が残り、西側に延びる数キロにも及ぶビーチの美しさは、欧米人を中心としたバックパッカーに人気のスポット。数年前まではそんな島だった。
近年、豊かな自然を背景に「エコ・ツーリズムおよびリゾート開発」を政府が承認。今では外資系を含めた大型リゾートホテルが建ち、カジノホテルや複数のゴルフ場の計画も進められている。新国際空港に続いて、大型客船が入港可能な国際港の整備も進められるなど、「ベトナム最後の秘境」を売りに、国内外からの観光客誘致策が急ピッチで動き始めている。