だが、妙は婚約指輪を埋めることを菫さんから拒否される。「あなたの寂しさを埋めるために雇っているわけではない」と。
優しすぎるのは悲しい
菫さんの元夫の千歳さんと付き合うことになる妙。さらに、菫さんと千歳さんの息子である蓮太郎との交流も生まれ…。どこかゆがんだ、でも温かい関係のなか、妙は過去と向き合うとともに、自分の足で生きることの豊かさを少しずつ学んでいく。
「菫さんはズバズバものを言えて、かっこいい。私の憧れも反映しています。千歳さんはすごく優しい人。でも、優しすぎる人って、悲しいと思ってしまう。優しいのではなく、諦めなのではないか。人に対して、何の期待もしていないから、優しい」
そんな個性的な人物に囲まれる妙だが、ときに「自分は必要とされていないのでは」という思いを抱く。「『私なんて』と思いつつ、でもずうずうしいところもあって。ただの弱い人間ではない。強さの種類も弱さの種類もいろいろある。誰もが、誰かを救えるということを書きたかった」