天安門に掲げられた毛沢東主席の肖像画。出席していなかったカイロ会談を題材にした映画で“主役”に祭り上げられ、波紋が広がっている=2015年8月14日、中国・首都北京市東城区(AP)【拡大】
中国で70周年の抗日戦争勝利記念日の9月3日に公開が予定されている映画「カイロ宣言」をめぐり、中国のインターネット上で「恥知らずな歴史の歪曲(わいきょく)だ」との非難や嘲笑が噴出している。1943年に連合国が戦後の対日方針を話し合うためにエジプトの首都で開いた会談が題材だが、会談に出席していなかった建国指導者、毛沢東主席(1893~1976年)が“主役”であったかのようなポスターと予告編映像が公開されたためだ。中国共産党系の新聞も映画の宣伝方法を厳しく批判。あわてた制作者側は、別のポスターを準備するなど大わらわだ。
「他の歴史も事実でない」
「会談には毛沢東を出席させておけばいい。どうせ私たちの他の歴史も事実ではないのだから」「人々の注意をひくための汚い宣伝だ」
中国版ツイッターの「微博(ウェイボ)」にはあきれ、自嘲し、怒るネット市民の書き込みが相次いだ。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)や英紙ガーディアン、フランス通信(AFP)など欧米メディアも騒動を大きく伝えた。報道によると、この映画は、中国政府による抗日戦争勝利70周年記念行事の一環として、中国人民解放軍系の映画会社が制作した。