番屋の多くは風雪に朽ち果て姿を消していった。屋根に重りの石を乗せたまま傾いた番屋をのぞくと、部屋の壁には作業着がかかり、灯油ランプがつられたまま。まるで人だけが消え、時間が止まっているかのようだ。
≪海と山に挟まれた狭い浜辺 人も熊もたくましく≫
今回、7月下旬に知人と2人で10日間ほど赤岩の浜に入り、番屋の修理にあたった。浜で唯一、コンブ漁のために人が滞在する番屋に挨拶に行くと、その主はしみじみ言った。
「やっぱり人がいるってのはいいな。煙突から煙が見えると、姿見えなくても、あぁ向こうも元気にやっているなってほっとするんだ」
僕はこの番屋を訪ねるのが本当に楽しみだ。時々ごちそうになるご飯やお風呂ももちろんだが、番屋のたたずまいが良い。腕の良い大工が手掛けたであろう番屋は、今ではめったに見られない太い無垢(むく)のはりを使って建てられている。