2020年東京五輪の公式エンブレム問題が深刻化してきた。「盗用」を指摘する海外デザイナーの使用差し止め訴訟に加え、エンブレムをデザインした佐野研二郎氏(43)による他作品の模倣疑惑が次々と噴出しているためだ。イメージダウンも懸念され、エンブレムを商品や広告などに使用する公式スポンサー企業からは早期の問題解決を望む声が高まっている。
広告などでのエンブレム使用について「現時点ではスケジュール通りに進行している」(三井不動産)というスポンサー企業が多い。ENEOS(JX日鉱日石エネルギー)と野村ホールディングス(HD)は22日から、テレビCMで公式エンブレムの使用を始めた。現時点で使用を自粛する動きはないもようだ。
ただ、今後の訴訟の行方次第では、エンブレムの使用が差し止められる恐れもある。それだけに「今は組織委の判断に沿った形で使用する」(金融系のスポンサー企業)と、状況を注意深く見守る構えだ。
一方インターネット上では、デザインをめぐる疑惑を理由に、スポンサー企業がエンブレムを“撤去”した、とする記事がまことしやかに広まった。だが、当該企業はもともとホームページ(HP)にエンブレムを掲載していなかった。こうした動向を踏まえ、あいまいな噂が独り歩きすれば「企業イメージの悪化につながる恐れがある」(スポンサー企業の幹部)と懸念する声もある。