白紙撤回された新国立競技場のデザインを実現すると総工費は3462億円に上ると、2013年7月に設計会社の共同企業体(JV)が試算していたことが19日、日本スポーツ振興センター(JSC)が作成した資料で分かった。JSCは12年にデザインを国際公募した際、1300億円と想定しており、当初の甘い見通しがあらためて浮き彫りとなった。
開閉式見送り検討も
JSCが20年東京五輪の招致が決まる直前の13年8月、総工費を1300億円に近づけるため、開閉式屋根設置の見送りなどを検討していたこともJSC関係者の話で判明。JSCは3462億円の試算を受け、解体費を含め1358億~3535億円の5つ以上の見直し案を文部科学省に示していた。
コストが最も低い案を採用しなかった理由についてJSC幹部は「招致活動の最中で、決断しづらかった。建築家のザハ・ハディド氏の案でプレゼンテーションをしており、ひっくり返すのは難しかった」と話している。