新国立競技場の建設問題に関して開かれた、文部科学省の第三者委員会の第2回会合=2015年8月19日、東京都千代田区(共同)【拡大】
公認会計士の国井隆委員は五輪招致でアピールできるインパクトの強いデザインを採用した背景には一定の理解を示しつつ、公共事業はある程度決まった予算を前提として進めるものとし「(コスト軽視の)流れを逆にするタイミング、潮目はあったのかなと感じる」と指摘。13年9月に五輪の東京開催が決まった後も「夢物語を引きずった」と、早期にコスト削減のための抜本的な見直しに着手しなかったJSCなどの姿勢を問題視した。
総工費はその後、規模縮小によって一時は1625億円まで圧縮したが、難工事が容易に想定できたデザインの見直しまでは踏み込まなかったため、資材価格の高騰などで再び膨らみ、最終的に2520億円となった。元陸上五輪選手の為末大(ためすえ・だい)委員は「予算の優先順位をもうちょっと高いところに置いておけば(早期に)この方向ではいけそうにないという判断もあったと思う」と語った。