事実上の分裂状態となった国内最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)をめぐり、執行部と離脱グループの間で切り崩し工作や情報戦が展開されている。離脱グループは新組織を結成する方針で、今後は「資金源獲得活動(シノギ)」をめぐる対立抗争事件の発生も危惧され、警察当局は情報収集を強化するなど厳重な警戒態勢を敷いている。
総本部移転で派閥対立か
離脱グループの中核は山口組5代目の渡辺芳則組長(故人)の出身母体の山健組(神戸市)で、数千人の構成員らを抱える。6代目の篠田建市(通称・司忍)組長を輩出した弘道会(名古屋市)と並び、山口組内では長年にわたり2大派閥と称されてきた。山口組内では最近、総本部を神戸市から弘道会の本拠である名古屋市に移すとの話が浮上。警察当局ではこうした動きに対する反発が分裂につながったとみている。
日本中がバブル経済を謳歌(おうか)していたころは暴力団社会も同様で、不動産や金融など表社会のビジネスにも進出していた。その後、バブルが崩壊し、山口組内の有力組織間で資金源をめぐる衝突が増加していった。