羽田空港国際線ターミナルの出口に掲げられていた佐野研二郎氏がデザインした東京五輪のエンブレムを取り外す作業員=2015年9月2日午後、東京都大田区・羽田空港(古厩正樹撮影)【拡大】
テレビCMやポスターの差し替えには経費もかかるが、今のところ損害賠償請求の動きは出ていない。エンブレムの利用範囲が広がる前だったことに加え、大会スポンサーとして東京五輪のイメージを悪くすることは得策でないとの思惑がうかがえる。
ただ、巨額の協賛金を支払ってエンブレムを企業PRに役立てようとしていただけに、広報担当者からは「企業イメージの悪化につながりかねないので迷惑」「今回の騒動は非常に残念」といった本音も聞かれた。
エンブレム入りのPR用ポスターなどに都民の税金を投入している東京都は、のぼり旗などのグッズを合わせ約4600万円分を発注済みで、一部は納品や支払いが完了している。発注したばかりのグッズは、急遽(きゅうきょ)業者に製作中止を依頼した。
7月24日に組織委と合同で開いたエンブレムのお披露目イベントの都負担は最大で7000万円。舛添要一知事は、組織委への損害賠償請求は法的に難しいと慎重だが「取り戻せるものは取り戻す。できるだけ都民の税金は使わない」と語った。