待ち構えていた警官が声をかけると、移民の若者は「行かせてくれないの?」と渋々指示に従い、線路わきの空き地に集められた移民たちに加わった。
ハンガリーは不法な越境を防ぐため、セルビアとの国境175キロに高さ約4メートルのフェンスを建設中だが、フェンスを破ったり、抜け道を使ったりして1日約2000~3000人が入国する。
警官は移民の身元を登録し、収容センターに移送する。しかし登録されると、無断で他のEU諸国に移ってもハンガリーに送還される可能性があり、指示を無視して逃げる者もいる。
フェンスについては他のEU加盟国からも批判が上がる。だが、今年のハンガリーへの不法越境者は16万人に上り、すでに昨年1年間の4倍近くに激増した。コバチュ政府報道官は「われわれが守っているのはわが国だけでなく、EUの国境なのだ」と反論した。(ブダペスト 宮下日出男/SANKEI EXPRESS)