しかし、8世紀ごろから伝播したイスラム教によるイスラム化、特に11世紀頃に台頭したホラズム朝による偶像崇拝の禁止、続いて13世紀にはチンギスハン率いるモンゴル軍の侵略によって一帯は破壊され、この地の仏教信仰は姿を消してしまった。アフガニスタン紛争時には旧ソ連の軍事拠点となり、米中枢同時多発テロ以降の武力衝突では、北大西洋条約機構(NATO)の補給拠点が置かれるなど、紀元前から現代に至るまで激動の歴史を歩んできた。
だが、テルメズには今も多くの仏教遺跡が残り、優れた美意識と深い思想を表現するガンダーラ芸術が発掘されている。その一つが、ウズベキスタンの首都タシケントの国立歴史博物館に収蔵されているクシャーナ朝時代の「三尊仏」だ。
石灰岩に彫り込まれたブッダ(仏陀)の柔和な顔が美しい。バーミヤン遺跡(アフガニスタン)が大きく破壊された今、この地に刻まれた仏教の歴史を今に伝える大変貴重な仏像であり、保護すべき地域であることを物語っている。
≪「アフガン風」に感じる仏教都市の栄枯≫
首都タシケントから国内線で約2時間。テルメズ空港への着陸準備の放送が機内に流れた頃、窓から見える景色が一変した。今までの澄み切った青空から砂が舞う極めて視界の悪い空となった。