背景知識から役作り
ミア監督はスヴェンの人生にインスピレーションを得て脚本に筆を走らせた。スヴェンは20年に及ぶDJ活動を経て小説家・脚本家となった人物だ。若いフェリックスは、ミアとスヴェンが求めるポール像にどう斬り込んでいったのか。
「ミアからは、この時代の音楽シーンが描かれているディスコ映画、本、代表曲を紹介してもらい、知識を増やしていきました。スヴェンにはDJ時代の思い出話を聞きました。友達と交わした会話とか、恋人とのエピソードですね。役作りでは、脚本に書かれていない部分、つまり背景知識を学ぶことに時間を割きました」。ちなみに作品では、世界的な人気を誇るフランスのエレクトロ・デュオ「ダフト・パンク」が誕生する様子も再現されており、見どころの一つとなっている。
俳優としても大きな一歩を踏み出したこの多才な若者はどんなキャリアを志向しているのだろう。「エンターテインメントの分野で、同時並行でいろんなことに挑戦したいです。政治家や官僚になるつもりはまったくありません。もし自分に能力があれば、いずれ映画監督もやってみたいですね」。少なくとも過去の栄光にしがみついて後悔を重ねるということはなさそうだ。東京・新宿シネマカリテほかで公開中。(高橋天地(たかくに)、写真も/SANKEI EXPRESS)